=『楼門五三桐』=四天=
=16:『いい男があっちにもこっちにも』の巻=
ワキ役の話です。…とゆうかあ、「その他大勢」のお兄さんのお話です。
『銭形平次』で「御用」「御用」ってゆって
提灯や刺又持ってる兄ちゃんたちのハナシにあたります。
この絵は『楼門五三桐』(さんもん ごさんのきり)で
石川五右衛門を捕まえようとする取方、
金糸四天(きんしよてん)と呼ばれるヒトたちです。
四天 よてん、って衣装の種類です。フツーのキモノとの違いは下図参照。
仏教の四天王が着てたから四天、という説があるけど、ホントかなあ。
「近世風俗志」にある「四天の「天」と「半纏(半天)の「天」は同じだろう」との記述は見るべきものがあると思います(えらそ〜)
たしかに天竺や唐を連想させる、ちょっと異質なシルエット。
兵隊さんの服としてよく使われます。
前アワセが浅く、スソに切れ目があって動きやすいから、
というか、この構造って、ぜったい「縫うのが楽」なんだと思う。
大勢の兵隊さんに同じモノ着せるんだから
布と手間は少ないほうがいいにきまってるじゃん。
だから本物の兵隊さんはもっとジミーな「四天」を着てたんじゃないかと思いますが、
歌舞伎では独特のダイナミックかつシャープなシルエットを生かして
キモノとはまったく印象の違う派手で豪華な世界をデザイン、
舞台のアクセントとしています。
化粧も、絵のように切れ長、上がり目を強調し、冷たくて強そうなかんじ。なかなかいい男。
『五三桐』の「金糸四天」もかっこいいですが、
『義経千本楼』(よしつねせんぼんざくら)や『仮名手本忠臣蔵』の
所作(踊りね)に出
てくる
「花四天」(はなよてん)も有名です。
どっちも季節は春の道行、バックが花ざかりなので、四天のモヨウも桜の花柄、花ざかりなのです。
手に持っている槍も、先端が花輪だったり、ただの桜の枝だったりします。攻撃能力ゼロです。
『千本桜』のほうに出てくるこの場面の主役の源九郎忠信(げんくろう ただのぶ)。
このヒト(実はキツネ)もちょっと前の「鳥居前}の段で四天を着ています。
こちらは主役級だけあって、衣装も派手なこと派手なこと。
同じ忠信が、花四天の出てくるこの『吉野山』ではむしろ地味な無地のキモノです。
まわりぜんぶ花だらけだから、無地のほうがかえって目立つわけ。
他に、スタンダードな「黒四天」、海がバックのときの「波四天」なんかが有名。
歌舞伎の幹部俳優は40、50代より上だし、踊りも立ち回りもやるから筋肉質だし、
舞台で大きくみせるためにあるていど脂肪もつけるので、
特に最近はガッチリした体型のかたが多いんですが、
まだ若手の役者さんが細長い手足で、四天姿で、華やかな動きを見せてくれるのは、
それはそれで目の保養でございます。
なんといっても歌舞伎はいろいろ楽しめていいです。
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