=『髪結新三(梅雨小袖昔八丈)』=
=19:『目には青葉 山ほととぎす 初鰹』の巻 =
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いいオトコのハナシです。
名前は、新三(しんざ)。しんぞうじゃねえぞ。

お芝居のタイトルは『髪結新三』かみゆい しんざ。
正しくは、『梅雨小袖昔八丈』(つゆこそでむかしはちじょう)。
文楽の、お店のお嬢さんがおこした殺人事件を描いた名作『恋娘昔八丈』をタイトル的にも内容的にも見る側に意識させているわけですが、
現行上演出ませんが、お芝居の後半部分はそういう筋も混ざっています。
ていうかそういうことは関係なく、なんというか、このタイトル、風情があって、超、よくない?(語尾上げて読んでね)
それにしても色恋がからまないおハナシです。
主人公の新三にカノジョがいないし、普通いるだろ、腐れ縁の女郎とか、一緒に悪さする情婦とか。
お店(おたな)のお嬢さんが出てきて店の手代と恋仲だけど、
新三にダマされて誘拐されて 押入れにおしこめられてから出番ナシ…(ひどい…)。
アトはヤクザさんとかゴーツクじいさんとかが出てきて、 お嬢さんの身代金をめぐってひたすらモメてるだけだし、
お芝居の見どころもその部分。
ふつうなら男が見たらならブチきれそうなほど色気のねえこのお芝居ですが、
ジマンじゃねえが、人気、あるある。
なぜかって、主人公の新三が色っぽいから。
男が見てさえクラッとする、男の色気。
オカマっぽいんじないよ、
どこから見てもフツーに男で、悪人で、性格悪くて、
で、色気があるのです。
かっこいい男やキレイな男はたくさん歌舞伎に出てきますが、 こんな色気のある男はほかにいません。
作者の河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)のシュミですね絶対(断言)。
そんで、その色っぽさをいちばん感じさせてくれるのが、この絵、 朝風呂浴びた新三が自分の長屋で 下剃り(アシスタントだね)で居候の勝奴とふたりでぼーっとしてる、 それだけのシーン。
いいトシこいた男がふたりで暮らしてるコトの ムサさやナサケなさはミジンもなく、
のんびりしていて楽しそうです。
新三って、女がいない、善人のワキ役をだます、 ゴーツクじじいにだまされる、
つまりよく考えると主人公らしい行動はなにもしてないんですが、
だれもお客さん、見ていてそのへん気にしません。
たぶん、新三本人が楽しそうにやってるからですね。
いい男が、たのしそうにバカやってるってトコが、ポイント。
一方で売りだし中のワルとしての 若さ、みずみずしさを感じさせつつ、
ちゃんと(イヤイヤだけど)髪結いとして仕事しているの男の実のあるかんじもなにげにあるから、
キャラクターに幅というかか、ヨユウができて色っぽいのかなとおもいます。
だから現行上演最後の場面、前の場面でコケにしたヤクザさんの弥多五郎源七が仕返しに来ての立ち回りのシーン、
新三は月代のばしてますから髪結いはやめて完全にヤクザさんですが、
この場面の妙にかっこつけてる新三よりも、 裏長屋で家主にやりこめられてる新三のほうが 絶対魅力的です。
チナミに原作ではこの場面で新三は本当に殺されてしまうのだ。
裏長屋でバカやってたそのときが、 新三の人生の一番輝いてる瞬間だったんだろうなあと思います。




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