=『累(かさね)』=
=21:『崇られるのは色男の特権』の巻=
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橘屋 今月も夏芝居のおはなし。 今回はホラー、怪談ネタです。
歌舞伎で怪談といえば、『 東海道四ツ谷怪談』(とうかいどう よつやかいだん)が スタンダードですが、
…やだ。書きたくない。
作者の鶴屋南北には何の恨みもございませんが、 …怖いのキライ。怪談モノは全部苦手です。 四ツ谷怪談なんて、一生見るもんかっ。って、ひどいもんだね。
この絵は『色彩間苅豆』(いろもよう ちょっとかりまめ)という所作(踊りね)。
あんまり怖くないから描きます。
かりまめ…って、まめってのはエッチなイミですから、「いろもよう」もからめて全体としてはすごくエッチなタイトルです。
これをつくったのは昔の芝の増上寺のお坊さんだって。ほんとにエッチだなあ。
通称『累』(かさね)。「累」は女のヒトの名前です。男は与右衛門
与右衛門が、かさねを殺して崇られるおハナシですが、 これね、お芝居はべつにあって、 設定やストーリーもお芝居版と所作(踊りね)版とはあれこれ違います。
チナミに「累」「与右衛門」も実在の人物、史実です。所作のほうが史実に近い内容です(ていうかお芝居版原型ない)。
ともあれ「かさね」、お芝居版も所作版も、それほど怖くないコトはたしかなので、ラッキー。でもできるだけ見ないけど。
怪談のくせに怖くないこの舞台の、最大の見どころは、 主人公与右衛門の足です。ふとももまで見せます。
二枚目、しかも、おサムライがこんなに大胆に足を出すことは、あるようでないです。
しかも女形(おんながたと読むのだよ)の「累」が足にしがみついたりしますから、 そうとう色っぽい眺めです。
そして、ふつう足を出す役はたくましさがウリですから当然足は肌色に塗りますが、
いい男でおサムライだから、与右衛門の足は、白塗り
黒の紋付きから見える白いふとももがなんともナマナマしいのです。
与右衛門、かさねの母親とも昔エッチしていてその夫を殺しています。
その祟りでかさねの顔が醜くなってしまいます。 それを与右衛門は殺して、さらにかさねにも祟 られる、というおハナシ。 因果応報。
そして、じつは、史実では与右衛門、このアト死なずに 四人目までヨメさんもらっているので、四ツ谷怪談みたいなものすごい祟りかたじゃないカンジです。
ていうかもやっらいヨメさんが全員死んでます。そっちに祟っているわけですが、与右衛門には危害を加えないというあたりに「恨み」というより「嫉妬」のようなものを感じます。

この舞台、怖くない理由のひとつは与右衛門のキャラクターでしょう。
なんというか、単純なんです。悪意とか欲得とかをあまり感じなくて、 とりあえずいい女だからヤりたい系の欲望だけで動いてる感じ。本人もいい男だし。
かさねのコトもキレイなうちはとても心配してるし、 男としてはイヤなやつじゃないというか。
でもワガママすぎるから、ひどい目にあうというか、。しょうがねえヤツですが。
だから、与右衛門を見てると、女好きのオトコに特有の セックスへのだらしなさのニオイみたいなモノを、ふと、感じちゃいます。
白塗りのやさ男だけど、ケモノなんだなこいつ、ってかんじです。
だからいくら祟られても懲りずに四人もヨメさんもらったんだろうけど。
ね、そういう目でみると、いちだんとナマナマしいふとももでしょ?

初演のときの与右衛門は、橘屋・十五代目市村羽左衛門。 美貌と女好きで有名でした。 そんなイメージを重ねてみると、また、一段と、ステキなふとももですよね。



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