=『弁慶上使(御所桜堀川夜討)』=
=41:武蔵坊の泣きどころの巻=
武蔵坊弁慶 のコトは、みなさん知ってますよね?
そう、あの、九郎判官義径さま の下僕、
大きくてゴツいからだ、いかついカオ、無骨でデリカシーなさそうな性格、体毛濃そうな肌、
武芸は万能、戦闘値MAXの男のなかの男 、うっわああい、かっちょええええ。
・・・違う、そういうハナシじゃない。
弁慶には、伝説があります。
『生涯誰ともセックスしなかった』 ってやつ。
その一生のすべてを血塗られた闘いに費やした男の
硬派なイメージをリアルに裏付けるエピソードです。これもかっこいい。
でも、でも、もし、そのその弁慶が子供時代、一度だけ女の子とエッチしてて
娘がいたら ・・・
ってのが、このお芝居のテーマ。
『御所櫻堀川夜討』 ごしょざくら ほりかわようち 三段目、
『弁慶上使』 べんけいじょうし と呼ばれる演目。
このお芝居今日びは前半部分をはしょって上演するので、
なぜ弁慶が主君である義径様のヨメさんの卿の君を困らせるのかがたいへんワケわかんなくなってます。いいけど。
あ、四段目も面白いのだ。今度描くね。
で、弁慶 がいつ、誰と、どこでエッチしたかともうしますと、
二十六夜待ち というイベントが昔はありました。なんかね、
その夜の月の中に仏様が見えるらしいのです。
一月と七月(今の2月と8月)、春と秋のイベントでした。
26日の月は明け方まで出ません。
待ってる間、いろいろフリーセックスな事件 がおきたのだ。OKなのだ。
こういうイベント、戦前まではあちこちに残っていたらしいです。
ここで、少年時代の弁慶がセックスしたのが、おわさ さん。
生まれたのが信夫(しのぶ) ちゃん。
18年後、出会った父娘は・・・っていうおハナシなんだけど、
おハナシもおもしろいんですが、
なんたって、見どころは少年時代の弁慶でしょう、楽しいでしょう 。
舞台に出てくるのは、そのとき着てたキモノの袖だけなんだけど、それが、
真っ赤な振袖 。
女の子みたいなキモノ着た10代前半の美少年、鞍馬のお寺のお稚児さん。右描いたのは想像図
かわいいでしょ、かわいいでしょ 、
なんかドキドキするでしょ、今は今でかっこよくてオイシソウだから、二度おいしいでしょ。
お芝居的には、18年前の赤い振袖を持った弁慶が大泣きするトコロが一番の
見せ場なんですが、
やっぱり、ねえ、あの、ごつい弁慶が、昔はこんな・・・? っていう
ちょっと笑っちゃうくらいの事実が(これは史実だからね)、上手く生かされてるトコロが、このお芝居の人気のヒミツでしょう。
でも、われわれのココロに本当にひびくのは、
18年たっても弁慶は変わってない ってところじゃないかと思います。
姿は180度変わっても、やっぱ、不器用で優しくて、
ちょっとマヌケで、芯は強い、
そんなトコロはいっしょなんだなあって。
二つのかけはなれた弁慶を知るコトで、われわれはやっぱ、いい男だよなぁっていう彼の本質を
より深く理解できるような気がします。
それがなきゃ、弁慶伝説のパロディにも近いこの作品が
こうやって名作として残ってるわけもないですよね。
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