=『鳴神不動北山桜・鳴神』=
=43:『「雷」とは「神が鳴る」のだよ』の巻 =
『鳴神』 なるかみ 。
歌舞伎十八番 のひとつです。
ってコトは古いお芝居ってコト。
『鳴神不動北山桜』 なるかみ ふどう きたやまざくら
ってお芝居の四段目。
三段目の『毛抜』 も
以前描きました。
『鳴神』 、古劇らしい、おおらかで力強いストーリーです。、
鳴神上人 なるかみしょうにん が法力(ほうりき お坊さんが修行すると使えるようになる不思議な力)で竜神を結界の中に封じ込めちゃったので、日本は雨がふりません。飢饉です。
困った帝 は 雲の絶え間姫 くものたえまひめ を
上人のところに遣わします。
雲の絶え間姫 、上人 を色っぽく誘惑し、ついに酒で酔いつぶして
その隙に結界のしめ縄を切るのです。
竜神が逃げて雨が降って、めでたしめでたし、
目覚めた上人は怒り狂います。っておはなし。
こう書くと鳴神上人、とんでもないい悪人みたいですね。
マンガや映画に出てくる悪い妖術使いのイメージでしょうか。
これ、設定は平安初期、内容的には「今昔物語」とかに書かれてる世界。
不思議な力を使うお坊さんがたくさんお話に出てくる時代です。
自然のエネルギーも人間のエネルギーも今よりずっと大きかった時代 、
強い信仰と厳しい修行の結果、人知を超えた法力を身につけたお坊さんは、
たしかに、いたでしょう。
鳴神上人もそのひとり、信心深いまじめな、りっぱなお坊さんです。
そもそも帝が「お寺を作る」って約束したのに作らなかったから
上人は怒ったのだ。悪いのは国の政策。
でもでも、雨が降らないのは困るので、人民の暮らしを守るべく、執政者としては打開策を考えざるを得ず、で、
「上人を女色でまどわして、とりあえず雨を降らせちゃえ」 と、乱暴ですが。
誰が悪いとかじゃなく、双方の利害が食い違った結果起きたトラブル、
それをなんとか最善のカタチで収めるためのドラマなのだ。
どっちも悪くないけど、どっちも一生懸命なのです。
上人も、雲の絶え間姫も、本来高貴な、人間的にもりっぱなひとたち。
欲や邪心で行動したりしないキャラクター(お寺がほしいのは仏様のためで私利私欲じゃないんだってば)。
そういうコトをふまえて、ふたりがお互いギリギリの立場で、
命がけの、丁丁発止のやりとりをしているのを手に汗握ってながめる、
ってスタンスを理解して見ないと、このお芝居、
お姫様がお坊さんをユーワクしてるだけの、
「なんだかヘンなおハナシー」 ってなっちゃいます。
今月から襲名披露公演中の四代目尾上松緑
おのえしょうろく くん、
2.3年前『鳴神』やりました。
若若しいエネルギーがホントに竜神封じ込めそうな
いい上人でした。
やっぱね、リクツで「こうだよ」って知識も必要だけど、
舞台で役者さんがちゃんとりっぱなお坊さんやお姫様に見えなかったら、
やっぱり、これ、「ヘンなお芝居〜」ですよねえ・・・。
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