=『将軍頼家=頼朝の死=』=
=47:『鎌倉大権現の御曹司』の巻 =
歌舞伎、明治時代に、
「活歴」 (かつれき) っていうジャンルがハヤりました。
江戸時代の時代考証無視の見た目中心の演出をやめて、
歴史に忠実な設定や演出にこだわることで
歌舞伎をより文化的で高尚 なモノにしよう、っていうもので、
まあ言っちまえば、当時の学者や知識人がおっぱじめた
アタマでっかちな発想 でさあね。
それでも歌舞伎のフトコロの深さはハンパじゃなく、それも一演出手法として受け入れ、
昭和に入って、真山青果 という偉大な作者を得て、活歴、ひとつのジャンルとして定着しました。
このお芝居も、そのひとつ。
『将軍頼家-頼朝の死』 ってタイトル。
活歴ですから、歴史上の人物、それも
武家社会の神様、将軍源頼朝 やその周辺のひとびとが実名で登場。
江戸時代には考えられないコトです。
タイトルどおり、頼朝の謎の急死をめぐるゴタゴタがドラマのテーマです。
原作(初期上演時)だと、もっと、政治的な北条とのかけひきとかも描き込まれていて歴史劇の色合いが強いのですが、
今は、後半部分、主人公の二代将軍頼家 が、父頼朝の死をめぐる謎について
真実を知らされない苦しみに身悶えするハナシになっています。
お芝居の中では、頼朝を殺したのは家臣の侍畠山重保 。
事故なんだけど。
その事実を口どめされて言えない重保 の苦しみ。知りたいのに知らされない頼家 の苦しみ、
ふたりのタイプの違う美青年が、
ひとつの真実をめぐって、知りたいもの、言えないもの、
並んでそれぞれに悶え苦しむの。たのしいお芝居です(←ちがう)。
絵は、2幕目の出だし、鎌倉御殿の夕暮れに
ひとりたたずんで父を思う、源頼家。
もののふの家柄たる清和源氏の後継者だけど、
遺伝子より環境ね。烏帽子に直衣姿で詩なんか吟じてる姿は、
むしろ平安貴族。
ミヤビでしょー?キレイでしょー?
ワタクシ作中はこの場面がイチバン好きです。
もうひとりの主役たる重保はじめ、まわりの登場人物すべてが
武士というより、武者、戦いのニオイをプンプンさせた 荒々しさをウチに秘めているなかで、
頼家、浮きまくってます。
言動も、父の死にパニックおこしてるのを隠しきれない弱さ、わがままさ。
それゆえに、家や政治中心にならざるを得ない価値観の中で
おしつぶされていく若者の悲劇が
あまりに華やかなこの衣裳に象徴されている気がいたします。
でも、やっぱ、キレイでしょ、頼家?
ただのヒヨワなボンボンとして冷たく見過ごすにはキレイすぎ。
後半、神ともあがめていた父、頼朝への思い、
父を失ったさびしさをせつせつと語って泣き崩れるところなんかも
このキレイでミヤビなキャラクターだからこそ効果的。
絶対、我を忘れて泣いてるとこなのに、最後まで品があって美しい、っていうのは、
演技としてはものすごくむずかしそうです。
いちばん初めのこのシーン、
座ってるだけで昔物語のようにキレイ ってくらいの
役者さんがやらなきゃですよね。
これは中村梅玉さん 。ああすてき。
↑の畠山重保は、先代の守田勘弥 戦前のヒト。
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