=『扇屋熊谷』=
=54:『京の五条の橋のそば』 の巻=
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  またもや今月も女の子、しかもふたり。
アヤシイだろー
舞台は京の五条の扇屋さん、扇折りの仕事をする女の子が大勢働いてます。
右はそのひとり、小萩ちゃん、実は、男。
平家の若武者、無官の太夫敦盛 様だ。
ワケあって女装して扇屋さんに隠れてるのだ。
そんで、お店のお嬢様の桂子ちゃんとできちゃったのが、このシーン。
あやしすぎ。
戦後一回くらいしか出てないんじゃないかと思います。見てない(生まれてたとは思うんだけど)。
戦前の写真手にはいったので描いてみました。
お芝居のタイトルは『扇屋熊谷』  おうぎや くまがい。 
別に正式タイトルあるけど、 このタイトルでしか絶対出ないから、べつにいいや。
このお芝居の後半部分は、あの、『一谷嫩軍記』  いちのたに ふたばのぐんき の
原型だそうです。
『一谷・・・』 以前描きました。
平家の若武者敦盛と、源氏の武将熊谷次郎直実のものがたり。
詳しくは、バックナンバーか、実際の歌舞伎を見よう。
しみじみとした悲しみと無常観を感じさせてくれる、名作です。
さてこのお芝居はもーちょっと明るいかんじ。
カタキ役に命をねらわれて扇屋に隠れてる敦盛 を、 熊谷次朗 が助けます。
そして敦盛、五条大橋の上で熊谷次郎と戦場での再会を約束して別れます。
現行上演ではこれだけしか出ません。
たいしたストーリーではないので、つまり、みどころは、イラストのようなアヤシゲな色もよう とか、
敦盛を含む扇折りのムスメたちが、ホンモノの女か調べられるのに 順番におっぱいを見られたり、というきわどいシーンとか、
熊谷次郎が男らしくてかっこいい、とか、途中の立ち回りとか、
最後、京の五条の橋の上で敦盛、キリリとした若武者姿で出てきて 直前のムスメ姿との対比でよろこばせる、とか、
なんかそういうへん。
あ、絵の小荻ちゃんは、今月もしつこく描く、
十五世市村羽左衛門 。 
根がナルシストだからでしょうか、 この方、女形(おんながたと読むのよ何度も言うが)ではないけど、 お嬢吉三とか、こういう「女装」する役好きみたいです。
桂子ちゃんは十二世片岡仁左右衛門 、こちらは女形。
たしかに恋人役が多いコンビではありましたが・・・これは、「ちゃうやろ」ってカンジですね。
そうそう、このお芝居とかならずセットで語られるのが
『傾城忠度』 けいせいただのり と呼ばれるお芝居。
戦で討ち取られて死んだはずの平忠度 (たいらのただのり)、
じつは女装して傾城(けいせい、おいらんね)のかっこをして、源氏の武将岡部六弥太 に かくまわれていたのだ、で、このふたり
しっかりヤることヤってます 、というシーンつき。
まあ、なんというか、これらのお芝居の持つ
「アヤシゲ〜」 さとか、「わけねえじゃん」 さとかというのは、 われわれが知る戦後の歌舞伎にはあまり見られない部分でございます。
でも本来歌舞伎というのはこういう、「なんでもアリ」でもって
「とにかく、キレイに、派手に」なものだったはず。もったいない。
社会の近代化とか、歌舞伎の役割の変化とか、こういうお芝居が出なくなった理由はいろいろあるけど、
ようするに、こういうバカやって、それでもサマになるような
色気も品もあって、しかも、上手で、存在感のありあまるような 役者さんが、 戦後少なくなったってのが最大の原因かと。
下手な役者さんがやると安っぽくなっておもしろくないだろうしな。
とはいえ、役者さんがそろえばこのテの狂言はバンバン復活して 見せていただきたいものでございます。
歌舞伎の歌舞伎らしさ を、正しく主張していくためにもね。



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